はじめてのパチンコで2万飛ばした話

思えば僕はもう21才で、酒もたばこもギャンブルも、免許もTSUTAYAのカーテンの向こう側も、平気な顔で楽しんで良い歳になっていた。酒とたばこはもちろんのこと、TSUTAYAのカーテンなんて18になった瞬間に「今日やってる?」みたいな常連顔でくぐった。ただ僕はギャンブルというものをしてこなかったのだ。いや、スクラッチとかはしたけど、あれはギャンブルというか夢を買ったみたいなものだからノーカウント。

社会人になるまでに僕の知らない世界を減らしておきたいと思っていた。なんとなくではあるけど、人が楽しんだり感動したりする何かを作る側でいたいと思っている僕からしたら、なぜ人は楽しいと感じるんだろう?というのは物凄く大きな疑問であり課題だった。カイジとかウシジマくんとかを見ていると、ギャンブル、風俗、その他諸々の闇を抱えかねない娯楽はどうしてここまでに人を引きずりこむのか?考えても仕方が無い。やったことないんだもん。AV見たことはあっても実際ベッドインしてみないと絶対快感なんてわかんないもん。そんなわけでギャンブル童貞の僕はいつか絶対パチンコ行くぞと思っていた。いつか女を抱くぞと思っている思春期の少年よろしく僕はワクワクとドキドキでソワソワしていた。

そしてついにその日がやって来た。パチンコでも行く?とのお誘いが来たのだ。一度はパチンコに行ってみたいと相談していた友人が誘ってくれた。ドキドキはピーク、ソワソワもピークだ。決戦は木曜日だったが、おしゃれすぎず、手抜きすぎない恰好を見つくろい、これで行けば童貞だとバレないだろうと考え抜いてパチンコ店に向かった。

パチンコ店の自動ドアは想像以上に簡単に開く。何人もの男に抱かれている感じ、慣れた女という感じだ。僕はそういう女の人は苦手だ。いいよ、と言われて電気を消したは良いが、童貞はそこから突然臆病になるのだ。自動ドアが開いたその瞬間、爆音が耳を貫いて足の先まで震わせ、心なしか手も震えだす。かすかなタバコの煙は肺に届き息苦しくなる。

ここまできたら後戻りはできない。脱いだ服を着なおすなんて無様な真似はできないのだが、怖い。怖くて仕方が無い。無精ひげをたくわえ、眼の下にクマを作ったおじいさんがタバコを吸いながら歩いている。きれいな店内に似合わないその光景が一層恐怖を引きたてる。それでもやるしかない。童貞は、そこで一歩踏み出さなければいつまでも童貞。大丈夫、きっと落ち着けば大丈夫、大丈夫、言い聞かせて初めてのパチンコ台の前に座った。

 

カイジのパチンコでまず4千円飛ばした。

 

帰ってカイジのアニメ見よ。すげえ繊細になってたけど、やってみたらそうでもない、思ってたのと違う。AVと全然違うじゃん。いやでも確かに楽しかった。演出も激しくて映像もきれいで、さすがという臨場感があった。映画でも見ている感じがした。でも思ってたのと違った。

 

そういやハルヒの台打ってねえぞ?

 

やっべえ1個しか体位試してないじゃんみたいな感じ。もう一回してみたら変わるかも。きっと変わると思う。そうだ、だって初めてだったもん。しっくりくるやり方が他にきっとあるんだ、絶対そう。もう一度、行こう。悔いを残すな。

 

ハルヒの台で1万3千円飛ばした。

 

あっという間だった。2回目は慣れもあってか気持ちよかったし夢中になってたらあっという間に終わってしまった。もうここまできたら大当たり当てるまで帰れん。俺を本気にさせたな?俺はもう止まらんぞ。

 

ハルヒの台で1万円飛ばした。

 

SOS団の部費になったのだ、僕のお金は。最終目的だった「換金」を最後にしたら、数回の当たりで何とか3800円が帰って来た。いや全然マイナスだ。でもなんか、ちょっと得した気分(錯乱している)

 

楽しかったから全然いい。もしかしたらUSJ行くより楽しかったかも。今年はいろんなことやるぞ。パチンコに勝ってその金で風俗に行ったら完璧です。

 

よろしくない比喩とよろしくない書き方が物凄く多くなってしまった。次の記事はもうちょっときれいな話にしようね。

 

次回、じゅんぺの春休み。

 

(あ、次回予告演出は当たり期待できるな、右打ち用意!)